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名古屋4日目

  • mori-kanon
  • 2019年8月30日
  • 読了時間: 2分

友人と久しぶりに会うことになった。


彼との付き合いはもう10年以上である。

彼の撮った写真をみて、あまりの美しさに、SNS上で声をかけたのがきっかけだった。


彼は非常に丁寧に自分の心と向き合う人で、その誠実さが写真に表われていた。そして、自分の写真同様、どんな人に対しても、丁寧な口調で誠実に向き合う人だった。


非常に優しく見えるが、彼の優しさには芯がある。決して、誰かに自分が評価されるためではない。全てにおいて、丁寧に向き合うことが呼吸であるような人なのだ。


久しぶりに彼を見た私は、ふっと力が抜けたのか、ぽろっと愚痴が出た。

あっ、と思った。

一度出ると、宙に浮いた砂袋のように愚痴は次から次へ漏れつづけた。

そんな自分に混乱しつつも、愚痴は止まらなかった。

彼も、私の大量の愚痴に困惑している。

だが、彼は丁寧に私の愚痴を受け止めた。


彼に受け取られた私の愚痴は、その場にぽんと浮いた。その愚痴の塊を改めて見てみる。それはとても醜かった。

だが、それは真実だった。とても強い私の本心だった。ここまでの気持ちを、今まで言葉にしたことはなかったし、ましてや人に言ったことはなかった。


彼と別れた後、私はようやく理解した。


今住む土地に依存した地域密着型の生き方は私には合わない。

いつでもどこでも出かけられ、情報も人も、全ての循環が多い都会に所属していないと、私は息がつまるのだ。


私はスマホを取り出した。


ゲストハウスの喫煙所で、みんながはしゃいでいる声がずっと聞こえている。

その声を聴きながら私は仕事の受注方法を変える決意をし、大手受注システムに登録した。



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